薄毛の原因は脳と関係あるかもしれない.....

なんとか自毛で頑張りたい人が発毛・育毛について考察しているブログです。

体にとっての髪の毛の役割とは

髪の毛の役割って考えたことありますか?

その役割をパッと答えられる人は少ないと思います。心臓や肺のようにわかりやすい機能がないため役割が見えにくいのです。

 

よくよく考えてみると


●頭部への衝撃をやわらげるクッション機能
●太陽の紫外線から頭部を保護


といったところがあがるのではないでしょうか。

 

しかし、脳は分厚い頭蓋骨に守られています。頭をたたいてみるとわかりますが、ちょっとした衝撃ではビクともしません。髪の毛というクッションがなくてもよさそうです。また髪の毛ではクッションとしては役不足に感じます。では、紫外線からの保護はどうでしょうか?黒い色には紫外線が吸収されづらいことが考えると役割としてはあるかもしれませんが、髪の毛の色は黒だけでなく金髪や白髪もあり、黒以外では吸収率は上がってしまいます。直射する太陽熱からの保護という帽子のような機能を考えても黒だとむしろ吸収し温めてしまいます。このように考えると上記にあげた髪の毛の機能はどうもしっくりときません。

そこで私は、そもそもの「毛」の役割について注目してみました。動物にも毛が生えています。そのそもそもの役割は「保温」です。寒さから身を守る役割があります。髪の毛の役割とはこの「保温」じゃないでしょうか?

この答えだと
「じゃあなぜ頭部にだけこんなに毛が生えているんだ?」
「体毛はここまでたくさんは生えてないぞ」
などという声があがりそうです。

それにはこう答えることができます。体には筋肉と脂肪がついています。筋肉は熱を生産することができ、脂肪は熱の放出を防ぎます。また人類は衣服を発明し、それを体毛の代わりに使用することができ、火の使用によっても体を温めることを知っています。これは人間の首から下の部分の話です。

一方、頭部は分厚い頭蓋骨はありますがその周囲を覆う脂肪・筋肉とも首から下の部分と比べてとても薄いです。これでは熱生産量も少なく、熱の放出を防ぐのも難しいでしょう。また目・耳・鼻・口などの器官があるために体を覆う衣服のようにすべてを覆いつくすことはできません。また頭部を体のように火に近づけて温めるのは危険です。これは説明しなくてもわかりますね。

また髪の毛の存在意義について語るには、遺伝子という視点からもみなくてはなりません。文明に支えられ生活しやすい現代社会の環境下にあっては「頭部保温のための髪の毛の役割」はさほど感じないかもしれません。しかし、私たち人類が現在のような文明生活を手にしたのは長い人類史からするとほんのちょっとの期間にしかありません。だいたいイギリスで産業革命が起きたのが18世紀後半で今から約160年前です。一方、最初の人類といわれるアウストラロピテクスが誕生したのがだいたい400万年前ということを考えれば、納得がいくでしょう。

つまり、遺伝子や人類の進化の過程から「頭髪の存在意義」を考える場合には人類史の割合からするとほんのわずかな期間にしかならない文明歴史に焦点を当てて考えるのは的外れになってしまいます。それでは人類史レベルの大きな視点で考えてみることにしましょう。

みなさんはちょっと意外に感じるかもしれませんが、私たちが生きているこの時代は氷河期といわれています。氷河期とは地球の気候が長きにわたり寒冷化する期間をいいます。その氷河期のなかでも氷期とよばれる比較的寒い時期と間氷期とよばれる比較的温暖な時期が存在し、それが交互におとずれます。その周期は数万年から十数万年単位です。私たちの生きている時代は氷河期の間氷期にあたります。現在の氷河期がはじまったのが約4000万年前ですから私たち人類はずっと寒い気候のなかで生きてきたということになるわけです。

寒い環境にいると人間はどうなるでしょうか?
雪山で遭難することをイメージしてみてください。人間は長時間寒い環境にさらされると眠くなってきます。よく映画の遭難シーンで「寝たら死ぬぞ!」と叫ぶシーンを見かけますよね。寒くなると脳の機能が低下し、体温が30度以下になると昏睡状態に陥り23~25度になると死に至ります。先ほど説明したように頭部には筋肉や脂肪が少なく熱生産・保温性が体幹に比べ低いのでより冷やされやすいといえます。そのため髪の毛によって保温する必要があったわけです。保温性の高さは髪を思い切り短く切ってみると体感できます。ずいぶん涼しくなります。また髪の毛は数日洗わないと脂っぽくなってきます。これも脂によって保温性を高めることにつながっています。

髪の毛に比べると体毛はずいぶん薄くなりました。これは火の使用や衣服の発明、熱を生産する筋肉量が影響していることをさきほど説明しましたが、体毛が退化した大きな理由がまだ残っています。それは人間の運動量です。最初の人類が誕生したのが約400万年前。そして農耕が始まったのが約1万年前(諸説ありますが)といわれています。それまでのほとんどの期間、人類は食料を得るために狩猟・採取をおこなっていました。狩りをするためには獲物を追うため長距離を移動しなくてはならず、場合によっては猛ダッシュする必要もあったでしょう。採取にしても果実を探し回るために長距離を歩き回ったと思われます。また快適な環境を求めて長距離を移動する必要もありました。このように生きていくために人類は現在よりもだいぶ動き回る必要がありました。

運動によって発生した熱は体温を上昇させます。脳は寒さにも弱いですが、暑さにはもっと弱いです。それは脳がタンパク質でできていることと関係します。卵を例にとって説明すると、卵は一度ゆでるとタンパク質が変性しゆで卵になります。これは生卵にはもどりません。あたりまえですよね。タンパク質は一度熱で変性してしまうと元には戻りません。これは脳も一緒です。脳だけでなく他の臓器にも言えることです。そのなかでも脳は高温に弱いといわれています。人間は40度以上の高体温がつづくと脳障害をおこすといわれています。激しい運動時には39~40度まで体温は上昇するので、これでは脳はたまったもんじゃありません。そこで人類は発汗機能の獲得と体毛の退化によって効率的に過剰な体温を放出する進化を遂げるのです。

ここまでの説明で、人間になぜ髪の毛が必要だったのか、また体毛はないのになぜ髪の毛だけが残ったのかということが理解していただけたかと思います